ミニコラム


台風の日



なんでも言い合える友達(笑)

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台風の日



家になにも食料なかったのでコンビニに向かう

もちろん土砂降り、傘もごく自然な身のこなしでぶっ壊れる、嵐の成せる技だ

最寄りのコンビニに着くもまさかの閉業、そんなバカな…

引き返しもう一つのコンビニに向かう、当然傘は壊れているのでビニール傘のビニール部分で体を覆うようにしながら進んだ。

煌々とした光に安堵し、しょうがないのでびしょ濡れのまま入店、服ってこんなに重くなるものなんだ。

もう散々な思いをしているので爆買いを心に決めていた。

中国人にばかり任せておけない、台風が産み落とした真の爆買い王ここに降臨だ。

いいおにぎり(しょっぱいやつ)がなかったのでおにぎりこそ買わなかったが、辛い系のカップ麺をいくつかと惣菜パンをカゴに爆入れしレジにへと向かった。

ピザまんがある、買おう

いつもはファミマのビーフカレーまんが本命だが今日は爆買い王なので爆買いする。

フランクフルト、買おう

フランクフルトなんて、もう本当に三年くらい食べてないんじゃないかな。

ホットスナックを2個買うなんて、他人のお金でしかやらない荒技なのでまたしても爆買い王の爆買いが出たといったところだ

その旨を伝えて、ビニール袋を持ち、退散

走った、走っても歩いてもぶつかる雨水の量には大した差はないというのを聞いたことがあるが、それはさておき爆買いの後だからか走りたかった。

嬉々としてビニール袋を開けると。

ない、ピザまんがない!

おい、嘘だろ…

寒い日にあったかいものを入れ忘れちゃダメだ

なぜなら、寒い日にあったかいものを入れ忘れちゃダメ法に引っかかるからだ

あったらの話だ。

裁かれることのないこの事象がとても悲しかった、いくら爆買い王でも、商品を袋に入れてもらえなければこんなにも惨めなものなのか。

これは、爆買い王改め殺戮クレーマの降誕だ、早速鬼電開始

「…あの、多分なんですけど、さっき買い物して、ピザまんが入ってなかったんですけど」

「申し訳ございません、後日取りに来ていただくか返金させていただきます」

「なるほど…あ、了解です!」

「従業員が足りないもんですから、持っていけないんです」

逆に従業員が足りたとして来るのかよ、この嵐の中を、素直にマジもんの台風なんで出たくないですって言ってくれよ…とかなんとか思いながら電話を切る

……おい待て!フランクフルトも入ってねえじゃねえか!

やってくれたな!こりゃ鬼電案件!

「…あの、一応確認なんですけど、フランクフルトって」

「申し訳ございません」

「あ、全然!」

〜翌日〜

ピザまんとフランクを受け取りに行くと

第一声 「いや、えっと、どういう感じでしょうか?」

そんなことあるのかよ

せめて 「ピザまんフランク絶対もらうマン」来るよーとか

「ホットスナック2個たべお」来るよーとか

「食いしん坊」来るよーとか

悪口でいいから、悪口でいいから従業員間で絶対に共有しておいて欲しかった

そっちからしたら何百と蒸してきたピザまんのうちの一つかもしれないが、こっちからしたら嵐を掻き分けながら求めたピザまんだったのだ

確かに、このコンビニに入るまでは、いや、レジの前に立つまではピザまんもフランクも欲しいとは思ってなかった。

従業員も急に欲しいと言われるし混乱してしまう気持ちも百歩譲ってわからなくもない

ただ、ただ…嵐の夜に求めた彼らがいないなんて

家に帰ってビニールに入っていなかった時は本当に悲しかった、その絶望感がこの店員には微塵もわかってない。

それ自体がとても悲しかった。

微塵もわかってないのが辛いのと同時に、これを従業員達と、いや他の誰とも一生共有することができないんだなと、もうこの深い隔たりはどうにもならないんだなと、そう思うとますます悲しかった。

そういうもんだけど、そりゃ悲しかった。

そんなこんなでピザまんとフランクをもらった。

食べた。

美味しかった。

並木雅浩浩



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